分類項目「02. か行」に関する記事一覧
薫陸は、早い時期から重要な香原料として重宝され、日本に伝来してからは薫物作りに欠かせない材料となった。
- 「梵に杜嚕、君杜魯という。枝葉は松に似る。夏に樹脂を採って香を製す。薫または熏に作る。」[有賀1990:92]
- 「薫陸は鑑真が日本に持ち込もうとした香料のなかにも見られ、また代表的な薫物である『六種の薫物』のなかの梅花、菊花、落葉、黒方を調製するときにも利用される。」[神保2003:323]
しかし今日、香原料としての「薫陸」が本来どの基原植物によるものかという点をめぐっては、およそ2つの大きく異なる見解が存在している。詳しくは次項参照。
Scientific Identification - 科学的同定
見解1. 「薫陸(香)と乳香は、形状が異なるものの、基原植物を同じくする樹脂である」。もしこの見解が正しければ、薫陸は乳香と同じくカンラン科ボスウェリア属の Boswellia carterii を基原とする樹脂を指すことになる。
- 『夢渓筆談』薬議に「薫陸、即ち乳香なり。本と薫陸と名く、其の滴下するや、乳頭の如きを以て、之を乳頭香と謂う」という記述がみられる。また『本草綱目』では項目自体が「薫陸香乳香」としてまとめられている。[いずれも有賀1990:93]
- 「『くりく』『くんりく』とも読み、『南蛮松脂』との異称もある。薬剤としても使われる。インド・イラン周辺に生育するクンロクコウ類から盛夏に分泌された樹脂が凝固したもの。乳頭状のものは特に乳香と呼ばれる。」[神保2003:323]
見解2. 「薫陸と乳香は異なる基原植物に由来する」。
- 山田憲太郎は『香料博物事典』(同朋舎、1979年)において、本来の「薫陸」とはもともとソマリランド(東アフリカ、ソマリア)産 Boswellia carterii 乳香そのものを指していたが、流通の途中、インドで Boswellia serrata インド乳香(カンラン科の一種の落葉高木、インド西部から中央部の乾燥した高地に自生する)が混ぜられ(さらには Styrax benzoin 安息香も混入することがあったという)、結果として本来の乳香とは異なったものが薫陸として定着した、という説を披歴している。[山田1979]
- また今日、日本全国に香原料を提供している主要な香木店において、「薫陸」と「乳香」が別の商品として取り扱われているという例も存在する。このことは、「(数百年にわたる歴史的な経緯がどのようなものであったにせよ、)現在の日本においては薫陸と乳香は別の香原料であると認識されている」という事実の、極めて有力な証左となろう。
Appearance - 外観
続きを読む: 薫陸(くんろく)

[gandha]