2009年7月アーカイブ

安息香(あんそくこう)

Description in Pre-Modern Asia - 東アジアの古籍にみる記述

  • 「安息香樹は波斯(ペルシヤ)国に出づ。波斯には呼びて辟邪樹と為す、長三丈なり云云。皮の色は黄黒、葉は四角に有り、冬を経るも凋(しお)れず。二月に開花し、黄色黄心にして微碧あり。実を結ばず。其の樹皮を刻み、其の膠は飴の如し、安息香と名く。六七月に堅く凝れり。乃ち之を取りて之を焼かば、神明に通じ衆悪を辟く」-『酉陽雑俎』広動物・木篇[有賀1990:75]

Description in Modern Japan - 近現代日本の文献にみる記述

  • 「梵に掘具羅、窶具羅、求求羅、求羅という。」「安息香樹は熱帯性の落葉の亜喬木で、高さは六乃至九メートルほどになる。樹皮から飴状の液が流れ出、夏季になるとそれが堅く凝って赭色となる。これが安息香である。」[有賀1990:75]
  • 「タイやインドネシアに産するエゴノキ科の安息香樹の樹脂。香料としての他、呼吸器系に薬効がある。」[大倉1993:86]
  • 「スマトラやボルネオなど東南アジアを中心に分布するエゴノキ科の常緑高木から採取した樹液を乾燥させた樹脂のこと。生産地からシャム(タイ)安息香とスマトラ安息香に大別され、シャム安息香の方が優品とされる。安息香は加熱することによって濃厚な甘い香りを放ち、防腐剤や去痰剤として用いられた。薫物の重要な材料であり、六種の薫物のうち「荷葉」の材料としても使用される。→金顔香(きんがんこう)」[神保2003:286]
  • 「この香料はもともとスチラックス属の樹木の幹に傷をつけて、にじみ出た樹脂を採取したものである。」「分泌液は乳白色をしており、空気中に放置しておくと、しだいに赤褐色の塊状になる。塊を砕くと、白色不透明またはうすい赤褐色の内面があらわれる。透明度が高いものほど上質とされる。」「産出地はタイ、ベトナム、マレー半島、スマトラ、ジャワなどの熱帯地方で、ベトナム産とスマトラ産が最良品である。ベトナム産は安息香酸とエステルが主成分、スマトラ産は安息香酸と肉桂酸からなる。スマトラ産に比べてベトナム産は甘美な香りが強いという具合に、産地により主成分や性質が異なっている。」[松榮堂2005:46]

Biological Identification - 生物学的同定

安息香の基原植物については、安息香酸 Benzoic acid の抽出に用いられた樹脂がエゴノキ科 Styracaeae エゴノキ属 Styrax の Styrax benzoin であったことから、現時点では「安息香といえば即ちベンゾイン Benzoin、ベンゾインといえば即ち Styrax benzoin の樹脂」と単純に理解される傾向にある。実際に、現在のアロマテラピーで用いられているテキスト類では、ベンゾイン精油(アブソリュート)はすべからく「Styrax benzoin の樹脂から溶剤抽出したもの」と記されていることからも、こうした傾向が広く認められることは明らかである。

しかし、最新の「日本薬局方第十五改正追補版」(JP15)に収録されている生薬「アンソッコウ」(英名 Benzonium)の項目をみれば、その基原として「Styrax benzoin 又はその他同属植物の樹脂」と記されているのみであり、必ずしも Styrax benzoin に特定されていないことがわかる。ここでいう「他同属植物」の候補として挙がるのは、まずは Styrax tonkinensis であろう。松榮堂(2005)にいう「ベトナム産」の安息香、また神保(2003)にいう「シャム安息香」とは、多分にこの Styrax tonkinensis を指すものであると考えられる。なぜなら、Styrax benzoin の主要な分布域がインドネシアのスマトラ島周辺であるのに対して、Styrax tonkinensis の主要分布域はタイ・ラオス・カンボジア・ベトナムといったインドシナ半島の国々とされているからである。

ただし、9世紀(唐代)に成立したとされる『酉陽雑俎』(ゆうようざっそ)ではその産地として西アジア地域の「波斯(ペルシヤ)国」をあげており、当時の安息香が今でいう Styrax benzoin または Styrax tonkinensis と完全に同定されるものか否かに関しては、若干の疑義が残るところである。

なお、安息香の樹脂は、日本の薫物以外にも、ロシアを中心とする正教会における薫香の主要成分として重要な役割を果たしていることが知られている。たしかにロシア正教をはじめとする正教会 Orthodox Church では、現在のカトリック Catholic やプロテスタント Protestant に比べると、香炉や薫香がさまざまな儀式で用いられる傾向にあるという印象が私にもあるので、これについては項目を改めて別途調査検討してみたい。

Appearance - 外観

刻み    

粉末    

鬱金(うこん)

Description in Pre-Modern Asia - 東アジアの古籍にみる記述

  • 「欝金香〔釈名〕鬱金、紅藍花、紫述香、草麝香、茶矩摩。頌に曰く、許慎の説文解字に云く、欝は芳草なり。十葉を貫と為して百二十貫、築(つ)きて之を煮る。欝鬯(うっちょう)は乃ち百草の英なり、合して酒を醸して以て神を降す。乃ち遠方の欝人の貢する所なり、故に之を欝と謂う」-『本草綱目』[有賀1990:78]

Description in Modern Japan - 近現代日本の文献にみる記述

  • 「梵に茶矩磨、茶矩摩という。」「香草、百合の類で花に香気を有し、祭祀の時に酒に和して神に献ず。一説にはサフランの漢名と言う。」[有賀1990:78]
  • 「うこん 鬱金 熱帯アジア原産(北インドカシミール)ショウガ科の多年草でターメリックとも呼ばれる。その根茎は乾燥させて、香料のほか染料や健胃薬として利用される。練香に使用される香料の一つ。」[神保2003:293]

Appearance - 外観

生 

粉末 

黄精根(おうせいこん)

  • 黄精(オウセイ)は、「第十五改正日本薬局方 生薬等」に収録されている生薬のひとつ。一般名として「オウセイ、黄精、Polygonatum rhizome」の3種が記されている。このうち、「Polygonatum rhizome」とは「ユリ科アマドコロ属 Polygonatum の根茎」を示すもので、具体的な種としてナルコユリ Polygonatum falcatum、カギクルマバナルコユリ Polygonatum sibiricum のほか、Polygonatum kingianumPolygonatum cyrtonema が挙げられている。

Appearance - 外観

生(原形)  

遠志(おんじ)

Appearance - 外観

生(原形) 

訶子(かし)

Appearance - 外観

生(原形)   

藿香(かっこう)

Appearance - 外観

刻み       

粉末     

甘松(かんしょう)

Appearance - 外観

刻み       

粉末     

甘草(かんぞう)

Appearance - 外観

生(原形)   

刻み   

枸杞子(くこし)

Appearance - 外観

生(原形)   

薫陸(くんろく)

薫陸は、早い時期から重要な香原料として重宝され、日本に伝来してからは薫物作りに欠かせない材料となった。

  • 「梵に杜嚕、君杜魯という。枝葉は松に似る。夏に樹脂を採って香を製す。薫または熏に作る。」[有賀1990:92]
  • 「薫陸は鑑真が日本に持ち込もうとした香料のなかにも見られ、また代表的な薫物である『六種の薫物』のなかの梅花、菊花、落葉、黒方を調製するときにも利用される。」[神保2003:323]

しかし今日、香原料としての「薫陸」が本来どの基原植物によるものかという点をめぐっては、およそ2つの大きく異なる見解が存在している。詳しくは次項参照。

Scientific Identification - 科学的同定

見解1. 「薫陸(香)と乳香は、形状が異なるものの、基原植物を同じくする樹脂である」。もしこの見解が正しければ、薫陸は乳香と同じくカンラン科ボスウェリア属の Boswellia carterii を基原とする樹脂を指すことになる。

  • 『夢渓筆談』薬議に「薫陸、即ち乳香なり。本と薫陸と名く、其の滴下するや、乳頭の如きを以て、之を乳頭香と謂う」という記述がみられる。また『本草綱目』では項目自体が「薫陸香乳香」としてまとめられている。[いずれも有賀1990:93]
  • 「『くりく』『くんりく』とも読み、『南蛮松脂』との異称もある。薬剤としても使われる。インド・イラン周辺に生育するクンロクコウ類から盛夏に分泌された樹脂が凝固したもの。乳頭状のものは特に乳香と呼ばれる。」[神保2003:323]

見解2. 「薫陸と乳香は異なる基原植物に由来する」。

  • 山田憲太郎は『香料博物事典』(同朋舎、1979年)において、本来の「薫陸」とはもともとソマリランド(東アフリカ、ソマリア)産 Boswellia carterii 乳香そのものを指していたが、流通の途中、インドで Boswellia serrata インド乳香(カンラン科の一種の落葉高木、インド西部から中央部の乾燥した高地に自生する)が混ぜられ(さらには Styrax benzoin 安息香も混入することがあったという)、結果として本来の乳香とは異なったものが薫陸として定着した、という説を披歴している。[山田1979]
  • また今日、日本全国に香原料を提供している主要な香木店において、「薫陸」と「乳香」が別の商品として取り扱われているという例も存在する。このことは、「(数百年にわたる歴史的な経緯がどのようなものであったにせよ、)現在の日本においては薫陸と乳香は別の香原料であると認識されている」という事実の、極めて有力な証左となろう。

Appearance - 外観

刻み  

桂枝(けいし)

Appearance - 外観

刻み   

桂皮(けいひ)

Appearance - 外観

生(原形)   

刻み     

粉末     

香附子(こうぶし)

Appearance - 外観

刻み 

甲香(こうこう)

Appearance - 外観

粉末       

山梔子(さんしし)

Appearance - 外観

粉末   

山奈(さんな)

Appearance - 外観

刻み       

粉末     

地黄(じおう)

Appearance - 外観

生(原形)   

支那粉(しなこ)

Appearance - 外観

粉末 -  

麝香(じゃこう)

Appearance - 外観

生(原形、天然)   

沈香(じんこう)

Appearance - 外観

伽羅 刻み     

伽羅 粉末(フルイ粉)  

シャム沈香 原木   

シャム沈香 刻み     

シャム沈香 粉末   

タニ沈香(ジャワ沈香) 原木   

タニ沈香(ジャワ沈香) 角割   

タニ沈香(ジャワ沈香) 刻み   

タニ沈香(ジャワ沈香) 粉末     

炭粉(すみこ)

Appearance - 外観

粉末     

川芎・川窮(せんきゅう)

Appearance - 外観

荒切   

石菖根(せきしょうこん)

Appearance - 外観

荒切   

蘇合香(そごうこう)

Appearance - 外観

半固形   

大茴香(だいういきょう)

Appearance - 外観

生(原形)   

刻み     

粉末     

大棗(だいそう)

Overview - 概要

Appearance - 外観

生(原形)   

沢蘭(たくらん)

Overview - 概要

Appearance - 外観

刻み   

椨粉(たぶこ)

Appearance - 外観

粉末       

丁子(ちょうじ)

Overview - 概要

Appearance - 外観

生(原形)   

刻み     

粉末     

天麻(てんま)

Overview - 概要

Appearance - 外観

荒切   

天門冬(てんもんとう)

Overview - 概要

Appearance - 外観

荒切  

肉荳蒄(にくずく)

Overview - 概要

Appearance - 外観

荒切   

乳香(にゅうこう)

Overview - 概要

Appearance - 外観

生(原形) 

刻み   

粉末     

人参(にんじん)

Overview - 概要

Appearance - 外観

荒切   

排草香(はいそうこう)

Overview - 概要

Appearance - 外観

刻み   

粉末   

白芥子(はくがいし)

Overview - 概要

Appearance - 外観

生(原形)   

白朮(びゃくじゅつ)

Overview - 概要

Appearance - 外観

荒切   

白檀(びゃくだん)

Overview - 概要

Appearance - 外観

刻み     

粉末     

紅(べに)

Overview - 概要

Appearance - 外観

生(原形)   

木蘭(もくらん)

Overview - 概要

Appearance - 外観

荒切   

木香(もっこう)

Appearance - 外観

生(原形)   

刻み   

粉末     

Personal Impression - 個人的印象

没薬(もつやく)

Appearance - 外観

生(原形) 

龍涎香(りゅうぜんこう)

Overview - 概要

Physeter macrocephalus マッコウクジラ(抹香鯨)の腸内に発生する結石。

Appearance - 外観

生(原形)   

龍脳(りゅうのう)

Overview - 概要

Appearance - 外観

鱗片(天然)   

刻み     

粉末     

零陵香(れいりょうこう)

Overview - 概要

Appearance - 外観

刻み   

粉末       

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